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ArchitectureDesignApproach

​デザイン思考による建築デザインプロセス

​知っておきたい「クライアント様と共創する空間デザイン」

​ 建築は、利用者の安全、健康、そして財産を守る大切な器、そして、世代を超えて地域文化や環境を健全に維持していく大切な役目を担っています。私は、運よく世界トップクラスの建築設計事務所で経験を積むことができましたが、そこで学んだことの多くは最新のデザインや技術ではなく、如何に人が自然(環境)と共にQOL(Quality of Life)を高めることができるかでした。
 ここでは、当社が最も大切にしているQOLの追求に必要となる「デザイン思考における共創(コミュニティ&ダイアログ)の建築」についてお話させていただきます。
 
​共創 01_ユーザー中心のアプローチ】

 ユーザーのニーズや要求を理解し、ユーザー視点や体験に基づいて空間を設計します。利便性や快適性を最優先に考え、ユーザー視点から問題解決のアプローチを探し、利用者が望む体験や目的に適した空間を創造します。

​共創 02_コミュニケーションと対話】

 クライアントとの密接なコミュニケーションと対話は、建築デザインプロセスでの成功に不可欠です。そのため、当社では、クライアント、または利用者との間での共創のプロセスを重視しています。クライアントの意見や希望を十分に理解し、彼らとの相互作用を通じてアイデアを共有し合いながら、最適な解決策を見つけるために、ワークショップやユーザー参加型のセッションを通じて、異なるステークホルダーの意見やアイデアを集め、それらをデザインに反映させることで、より多様な視点からのアプローチの実現を目指しています。

【​共創 03_ユーザーエクスペリエンスの重視】

 空間デザインは、QOLを向上させるものでなければならないという信念を持っています。また、利用者の体験を向上させることを目指すべきだと考えています。クライアントと共に、利用者のニーズや要望に焦点を当て、快適性、使いやすさ、美しさなどの要素を考慮しながら心身共に満たされる空間デザインを創造します。
 

【​共創 04_問題解決とプロトタイピング】

 デザイン思考の建築デザインでは、問題解決に重点を置きます。空間に関連する問題や課題を特定し、それらに対する解決策を検討します。また、アイデアを素早く形にするために、プロトタイピングやモックアップを活用します。これにより、アイデアの妥当性や有効性をテストし、最終的なデザインに反映させることができます。

 

​共創 05_ビジュアルコミュニケーション】

 空間イメージの共有にはビジュアルなコミュニケーションが重要です。アイデアやコンセプトを図や模型、プレゼンテーションなどを通じて視覚的に伝えます。これにより、クライアントや利用者がデザインのビジョンを共有し、理解することができます。

 

​共創 06_反復と改善】

 良い建築計画のプロセスには、反復と改善のサイクルが必須です。最初のアイデアやデザインは、試行錯誤を通じて洗練され、改善されていきます。当社では、フィードバックを受けながらデザインを見直し、必要に応じて修正や調整を行います。この反復的なプロセスにより、より目指す空間デザインの実現が可能となります。


​ ここにシェアせていただいた「クライアント様と共創する空間デザイン」のつのプロセスは、単に美しい建築物を創り出すだけでなく、ユーザーのニーズや目的に合致し、QOLを高める空間を提供することを目的としています。共創とユーザー目線のアプローチに基づき、問題解決と改善を通じて持続可能で魅力的な空間を創造することは、同時に、環境にやさしく、現代社会においても求められていることにつながっています。

 クライアントとの緊密なコミュニケーション、プロトタイピング、ビジュアルコミュニケーション、反復的な改善プロセスなど、これらの手法を適切に活用することで、建築家とクライアントが協力し合いながら、魅力的で創造的な空間を共同でデザインすることが可能となるのです。

ArchitectureDesignThinking

​デザイン思考による建築デザイン

​知っておきたい「歴史と地域性を重視する共創の建築」

​ 人だけでなく、歴史や文化、自然環境など、多くのつながりが人生を豊かにしてくれると感じている当社では、クライアントと建築家の関係にとどまらず、歴史や地域性、自然や地球環境との共創が重要であると考えます。そのカギとなるポイントを幾つかご紹介いたします。
 
【​Point 01_文化的な共感と調和】

 歴史や地域の文化や風土を尊重し、取り入れるデザインアプローチによって、建築物が周囲の環境と調和し、地域社会との文化的な共感を生み出すことができます。建築物がその土地やコミュニティに根ざした存在となることで、愛着や誇りを持って受け入れられる人と建築、そして地域とのつながりが創出されます。
 

【Point 02_自然環境との調和】

 建築物は自然環境との調和を図るべきであると考えます。景観の考慮や緑化、自然光の取り込み、自然素材の使用など、自然とのつながりを大切にする要素を重視します。これにより、利用者の心理的な安定感や快適さを高めるだけでなく、利用者が自然に向き合う共存の精神を養います。
 

Point 03_ユニークなアイデンティティの創造】

 歴史や地域性を重視したデザイン思考による共創では、建築物に独自のアイデンティティや特徴が生まれやすくなります。伝統的な要素や地域の特色を取り入れつつも、現代的なアプローチや新たな解釈を加えることで、ユニークで魅力的な建築物が創り出されます。

 

Point 04_持続可能性への配慮】

 地域の歴史や環境に根ざしたデザインは、持続可能性への配慮を促進します。自然環境や資源の保護、エネルギー効率、循環型経済などの要素を取り入れたデザインは、地域の持続可能な発展に寄与し、地球環境にやさしい建築物の実現を可能とします。

Point 05_地域経済の活性化】

 地域性を重視したデザインでは、地域の建築材料や工法、技術などの活用が促されます。これにより、地域の産業や職人の活動が支援され、地域経済の活性化に寄与することが期待されます。

​Point 06_地域住民との関わりと認識】

 地域性を重んじるデザイン思考による共創のプロセスでは、地域住民や利用者との密接な関わりが生まれます。彼らの声や意見を取り入れながら建築物をデザインすることで、地域住民の参画意識や建物への関与感が高まります。地域住民は自身の環境や文化に対して共感し、建物に愛着を持つことができます。また、建物が地域のアイデンティティやランドマークとして認識されることで、地域全体の誇りや活性化に寄与することが期待されます。

Point 07_長期的な持続価値の確保】

 歴史や地域性を重視したデザイン思考による共創の建築物は、時間の経過とともに魅力を保ち続ける可能性が高まります。歴史的な価値や地域の特色を取り入れたデザインは、流行やトレンドを意識しながらも時流に左右されにくく、長期的な持続価値を確保することができます。


​ これらの要素を重視した共創の建築デザインを行うことで、建築物が持つ多くの利点やメリットが拡張されます。建物が地域との結びつきや調和、持続可能性、アイデンティティの創造を追求することで、建築物自体が魅力的で意味のある存在となり、地域社会や地球環境、利用者に対して積極的な影響をもたらすと考えています。

One Day...

​「辞めます」から始まった建築修行

建築修行

​〈目指すべき建築像》
Project
​ Think Tank
Completion
​ 2000
Architect
 Philip Gumuchdjian

【ある日のこと】
 大学を卒業し、大量生産や一般化された設計手法とは異なり、地域の特性やニーズに合わせた個別のアプローチを追求するバナキュラーな建築を目指していた当時、日本では、インターネットが普及し、テクノロジー指向型の建築が主流となり、バナキュラーな建築は見向きもされていませんでした。結果、若く経験も少ない当時の私は、その波に押しつぶされそうになり、視野を広げるため、ルーツをアーツ&クラフツに「素材と空間の質」について建築界の第一線を走っていたピーター・ソルター教授のもと、自分の建築観の基礎を再構築するためにイーストロンドン大学に留学しました。

【またもや挫折?】
 イーストロンドン大学では、生の素材に触れながら、手作業でプロトタイピングを創るハンズオンプロセスの建築デザイン、そして、ユーザー視点を中心に考えるデザイン思考を学びます。とにかく毎日が忙しく、睡眠時間を削っては、頭を悩ませ、ワークに勤しむ日々。大学院過程二学年一クラス20人中ストレートでパスしたのは4人という一年目も無事にパスし、二年目の成長に期待を膨らませていた矢先、師事していた教授から突然、退官すると聞き、その場で退学を決意。先も考えず、家族に「学校辞めます」と報告するも突然の退学の申し出に怒り沸騰の家族には縁を切られる始末。

【無残な就活、10社へのアプローチ】
 このまま、国に帰るお金もなければ、生活もままならない。さらに輪をかけて英語が堪能でない。こんな状態で就職なんてありえないと考えるのが普通だが、飲まず食わずでポートフォリオ(作品集)をまとめてみることに。しかしながら、そうは簡単にいかないのが現実。就活するも、履歴書とポートフォリオは、ポストに入れておいてと軽くあしらわれるもので、ならばとポートフォリオをブラッシュアップさせては再挑戦。ヨーロッパで修行するならこの10社、ダメでも行きたくないところには絶対に行きたくないと思っていたからなおさら
 とはいえ
、腹が減っても食えないもんですから、何かせねばと日本人経営のキャバクラのボーイのバイトをすることに。それでもほとんどが家賃と交通費に消え、食えるような生活ではなく、ホームはあるけどホームレス。ちなみにこれは「ワーキングプアホームレス」というらしい。
 そうして、昼間のポートフォリオ修正と不規則な夜中のバイト生活に青ざめた顔して目も行っちゃった状態で倒れるが、それでも夢をあきらめない泥臭い日々を過ごし、10社へのアプローチは、終わった。
 その時、退学から半年が経っていた。


【意外な反応】
 一通り、アプローチをかけ、9社から不採用の連絡を受ける。絶望感に苛まれる。残すは最後の1社だと妙なスリル感を味わいながら、ぎこちない面持ちで連絡すると、待ってましたと言わんばかりに、早速事務所に来てくれとの声。その意外な展開は狐につままれたかのようで、不器用な笑みをこぼした自分が今でも忘れられない。その違和感が後日明らかになることはその時は知る由もなかったのですが。。。

【グムチジャン・アーキテクツ】
 それから3日後、早速インタビューに伺った。その設計事務所は、グムチジャンアーキテクツ。ロンドンのロンドンの演劇とエンターテインメントの中心地、コべント・ガーデン駅から駅から徒歩3分ほどのところ、シンプルな黒い格子の扉を抜け、2階に上がったところにオフィスがあった。グムチジャンアーキテクツは、建築雑誌A+Uに掲載されていたThink Tank-Boathouse(上の写真)の自然と調和した建築計画と洗練されたテクスチャード・ミニマルなデザインが特徴。建築をしている者なら必ず耳にしたことのあるイギリスの巨匠、リチャード・ロジャース卿の愛弟子で、リチャードとの共著「都市 この小さな惑星の」やその後、日本建築界の巨匠、坂茂氏とのコラボレーションで実現した、パリの国立近代美術館の分館、ポンピドゥ―センター・メスの国際コンペを勝ち取り、実現させたことで有名な建築家。当時は、まだ、事務所を開設して数年しかたっておらず、プロジェクト数も数えるほどだったと記憶している。
 大きなポートフォリオを抱え入室すると、小柄でフレンドリーな趣のボス、フィリップが迎え入れてくれ「とにかく、どうぞ、紅茶は飲むかい?」と勧められ、面接が始まった。

【想定外の勘違い】
 「えーと、今日は有難う。早速だけど、例の翻訳の件だよね?」とフィリップ。僕はきょとんとして「面接に来たんだけど、翻訳?」と聞き返すと、「都市 この小さな惑星の」本を僕に見せ、「この本を中国語に翻訳する話でしょ?君中国人でしょ?名前は?」というので、「僕は今日インタビューを受けに来たシンヤ・モウリです。2週間ほど前に履歴書を送っていますが覚えてないですか?」と片言の英語で聞き返すと、「あぁ、あのクレイジーなカバーレターの子か、あまりに変わり過ぎてて不採用にしてた子だ。ラルフ、覚えてるだろ?あの子だよと。」と、そこでこれまで全て不採用になったワケにようやく気付くこととなる。ちなみにラルフは、優しい笑顔がチャーミングな大柄のドイツ人建築スタッフ。

【まさかの展開
 「ラルフ、シンヤがせっかく来てくれたから一緒にポートフォリオ見よう。」とラルフも参入し、”インタビュー”という名の僕のこれまでの建築活動の紹介が始まった。まずは、日本の大学で学んでいた内容、そして、大学3年時後半よりフルタイムでアトリエ事務所に勤めていたこと、続いてイーストロンドン大で学んだことなど、時系列に作品を見せながら、バナキュラーな建築の魅力と素材と空間の質に関心が高く、フィリップのThink Tank-Boathouseを建築雑誌で見たことがきっかけで、連絡先を調べ、グムチジャンアーキテクツの門をたたいたといった意味合いの話をしどろもどろに説明すると、フィリップが一言「シンヤ、君が考えていることややっていることは恐らく僕が考えていることにとても近い気がする。」と。続けて、ちょうど今模型スタッフを探していたところなんだけど模型は得意かい?手伝って貰いたいんだけど。なぁラルフ、どう思う?」とラルフに尋ねるとラルフも「これで僕も助かる。とりあえず手伝って貰おう。」と言うので、すかさず「模型は、超得意です。是非、お願いします。早速、明日からでもいいですか?」とディール。

【建築という非言語コミュニケーションスキルを磨く】
 そこからアルバイトとして事務所に出入りすることとなり、模型の精度や制作中の取り組む姿勢、デザイン提案などが評価され、アルバイトの延長が決定し、そこでキャバクラを卒業。また、そのころ大口の案件がスタートし始めたことやポンピドゥー・メス国際建築設計コンペのコラボの話が坂茂氏から入ってきたことにより、さらに期間延長となり、コンペの最優秀が決定したことを機に、晴れて正スタッフに加わることとなった。英語は相変わらずで、多少しどろもどろな状態ではあったが、2年後には、アソシエイトディレクターとして部下を取りまとめ、しばらくしてデザインパートナーに就任し、事務所の第2の頭として多くのプロジェクトの設計に携わり、大きな案件の竣工を機に卒業。その経験をさらに高みへ押し上げるべく次のステップを考えていたところ、フランス建築界の巨匠ジャン・ヌーヴェルの事務所からインテリア部門の新設に伴いディレクター候補の誘いを受け、入所し、国立公園のモニュメントや高級マンションや5つ星ホテルのインテリアデザイン、高級メゾンのショーデザインなど、それまで以上にハイエンド層のプロジェクトに携わり、修行を終えた。

【修行を終えて、また修行】
 今考えれば、語学も堪能でない自分が業界内で経験を積み上げることができた最大の理由は、言葉に表せない非言語コミュニケーションスキルを上げ続けることができたからかもしれない。そして、やったことのないことに対しても真正面から体当たりし続けられる勇気があったからだろうと思う
 その習慣や性分は、今も全く変わっていないが、あの頃の「生き残るために必要な力=生存力」を磨くステージから、独立して「関り合いのあるすべての人に対して幸せを拡張させるために
必要な力=貢献力」を磨くステージへと進み、さらにこの先のステージを設定するとすれば、そのテーマは「愛=絆力」なのかなと感じている。
 そこに必要となるのは、何なんだろう?やはり、まだまだ、この先も修行だな。ただこれからは、みんなで考えていきたい。それを共創により学んでいきたいと思う。

 

Area Development

イノベーションスタジオは、2018年に開催されたベニスビエンナーレにてイギリス人建築家フィリップ・グムチジャン氏のコラボレーターとして、展覧会に参加しました。このプロジェクトにご興味のある方はご一報ください。

Commertial Buildings

Modern Houses

Minka Houses

Competitions

Environmental Art

イノベーションスタジオでは、イギリス人アーティスト、ダンテ・リオネリらと主にアートと環境を結び付ける環境アートプロジェクトを進めています。​このプロジェクトにご興味のある方はご一報ください。

100 of Re:Flex

頭の中に浮かんだイメージをスケッチに起こしてゆくアイデアブック。
100アイテム出来るまで日々アイデアを更新。

Training History-2014

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